<?xml version="1.0" encoding="utf-8"?><rdf:RDF xml:lang="ja"
	xmlns="http://purl.org/rss/1.0/"
  xmlns:rdf="http://www.w3.org/1999/02/22-rdf-syntax-ns#"
  xmlns:dc="http://purl.org/dc/elements/1.1/"
  xmlns:content="http://purl.org/rss/1.0/modules/content/"
  xmlns:sy="http://purl.org/rss/1.0/modules/syndication/">

<channel rdf:about="https://era12296313.novel.wox.cc/feed">
	<title>秘め事は愛の始まり。</title>
	<link>https://era12296313.novel.wox.cc</link>
	<description>嘘ついてまでワラワナイデ。</description>
	<dc:language>ja</dc:language>
	<items>
		<rdf:Seq>
							<rdf:li rdf:resource="https://era12296313.novel.wox.cc/entry14.html" />
							<rdf:li rdf:resource="https://era12296313.novel.wox.cc/entry13.html" />
							<rdf:li rdf:resource="https://era12296313.novel.wox.cc/entry12.html" />
							<rdf:li rdf:resource="https://era12296313.novel.wox.cc/entry11.html" />
							<rdf:li rdf:resource="https://era12296313.novel.wox.cc/entry10.html" />
							<rdf:li rdf:resource="https://era12296313.novel.wox.cc/entry9.html" />
							<rdf:li rdf:resource="https://era12296313.novel.wox.cc/entry8.html" />
							<rdf:li rdf:resource="https://era12296313.novel.wox.cc/entry7.html" />
							<rdf:li rdf:resource="https://era12296313.novel.wox.cc/entry6.html" />
							<rdf:li rdf:resource="https://era12296313.novel.wox.cc/entry5.html" />
							<rdf:li rdf:resource="https://era12296313.novel.wox.cc/entry4.html" />
							<rdf:li rdf:resource="https://era12296313.novel.wox.cc/entry3.html" />
							<rdf:li rdf:resource="https://era12296313.novel.wox.cc/entry2.html" />
					</rdf:Seq>
	</items>
</channel>

	<item rdf:about="https://era12296313.novel.wox.cc/entry14.html">
		<link>https://era12296313.novel.wox.cc/entry14.html</link>
		
				
		<title>9　＊</title>

		<description>「きゅ、ひょな…」


とろんとした目で…</description>
		<content:encoded>
			<![CDATA[ <span style="font-size:small;">「きゅ、ひょな…」


とろんとした目で見つめてくるミニにもう一度キスをすると、
熱くて艶めかしい吐息が口内に広がる。

その吐息に身を委ねるように舌を動かすと、少しずつミニの体が熱くなったのが分かった。


「や、もう…」


キュヒョンの腕の中で体を捩らすソンミンの頬は、既に真っ赤に上気している。
その頬にキュヒョンがそっと触れると、ソンミンは大袈裟にビクついて肩を動かした。


「キュヒョナ…もう、やだ…」

「やだって？何が嫌なの？」


顔をわざと覗き込むようにして問いかけると、さっきでさえ赤かったソンミンの顔が
一気に赤くなる。
キュヒョンが顎に触れて顔を近づけると、ソンミンはそれを手で制した。


「もう、キスばっか、いや…」


震える声で言ったソンミンは、すぐに俯いて手を離す。
その白い手をキュヒョンが掴んで優しくベットに押し倒すと、
ソンミンはうっとりとしたような瞳でキュヒョンを見つめる。


―それは、反則だ…




「きゅひょ…ひあぁッ！！」


固まってしまったキュヒョンを不思議に思って問いかけるソンミンの服の中に手を入れて、
キスだけでぷっくりと膨らんだ胸の突起を弄る。
思った以上にソンミンの体は感じやすいように出来上がっていて、キュヒョンがほんの少し
手を動かすだけで、白い体がフルフルと震える。


キュヒョンは触れながら器用にソンミンの服を脱がす。
あっという間に生まれたての姿になったソンミンは、胸の愛撫にすっかりぐずぐずになっている。


「は…きゅ、ひょな…」

「…なんかミニ、感じやすいじゃん」

「ち、ちが…ふあッ！」


キュヒョンはもうとろとろと柔らかくなったソンミンの中に指を入れる。
いきなり二本、勢いよく入れたのに、すんなりと入ってキュヒョンも少し戸惑う。


「ミニ、なんかした？すぐ入ったけど」

「やっ…なに、も…んあッ…」

「ホントに？自分でならしたんじゃないの？それとも、誰かにやってもらった？」

「ちがっ…んやぁッ…はッ…ん…」



違う？ホントに？いつの間にそんな体になったの？俺がいない間に？



考え出せばきりがない思考に犯されて、キュヒョンは二本の指を器用に激しく動かす。
ぐちゅぐちゅといやらしい音が部屋中に響く。
その音を感じるだけで、理性なんて壊れてしまうのに。


「ミニ、なんか今日変だよ、絶対」

「な、に言って…んッ…ひあ…」

「ねえ、何があったの？俺には言えないこと？」

「ふッ…ちが…あッ…」

「じゃあ、早く言ってよ。言わないと何もしないよ？」


相変わらず指の動きを止めないでキュヒョンが問うと、
ソンミンは目をジワリと滲ませる。

それを合図にキュヒョンが指を抜くと、ソンミンは名残惜しそうな瞳になった。


「ほら、早く。」

「キュヒョナ…」

「ね、言ってよ。ミニ。」


キュヒョンがテラテラと光る指でソンミンの頬を撫でると、ソンミンは色っぽく目を細める。
本当はそんな顔を見ただけで我慢できないけれど、キュヒョンはグッと唇を噛み締めて、
ソンミンが口を開くのを待った。


「……だって、もう…」


恥ずかしそうにポソポソと話すソンミンの声に耳をすませる。
その間にもドクドクと疼くものを制すのに、キュヒョンは精一杯だった。


だから、ソンミンの口から出た言葉を、最初は理解できなかった。



「だってもう、我慢できなくて…」



我に返って言葉の意味を理解したときには、既にプツリと理性の糸は切れていた。



「わ、ちょ…んんッ！！」


もじもじと恥ずかしそうにするソンミンの腰を持ち上げて、キュヒョンは自身を中に入れた。
もうすっかりそこはとろとろになっていて、熱くて柔らかい感触が頭の中に走って、
ゾクゾクと背筋に鳥肌が立つ。


「やあッ…んふあ…ふ、や…んッ…」

「は…ミニ…」

「ひやぁッ！んあっ…ふッ…ッやあ…」

「ちょ、キツ…」

「くはッ…きゅ、ひょ…あッ…」


勢いをつけてキュヒョンは激しく腰を振る。
ゾクリとする快感が全身を駆け巡って、無意識のうちにスピードは上がっていった。

目を閉じると、瞼の奥がチカチカとする。
キュヒョンは、どこか夢現で動いた。


「ミ、二…も、イく…」

「ふやぁッ…やッ…んあぁ…」

「ッは…ッ…イく…！」

「ひゃあッ…んんッ…んやぁあッ！！」





グッタリと果ててしまったソンミンは、うっすらとしか開いていない瞳でキュヒョンを見つめる。
余韻に浸るように目尻を下げているキュヒョンに薄く微笑みかけて、
キュヒョンの華奢な体に抱き着いた。


「…きゅひょ、な…」

「ん？」

「……好き」


恥ずかしそうにキュヒョンの胸に顔を押し付けて言うソンミンが愛しくて、
キュヒョンはその柔らかな髪を優しく撫でた。



この温もりは、俺だけのもの。
何処にいたって、誰といたって、それは変わらないんだから。


「ねえ、ミニ」



どうしても一つ、確かめたいことがあるんだ。



「…もう、今回みたいなことはしない？」



頼りなさそうに言うキュヒョンに、ソンミンはプッと噴出した。
真面目な答えを待っていたキュヒョンは不機嫌そうな顔をしたが、ソンミンは構わずニコニコとして言った。



「そんなの、キュヒョナ次第なんじゃない？」




―完敗、だった。




キュヒョンは、まあ、それでいいかと頷く。
そういうところがミニらしいし、大変かもしれないけど。


そのたび俺は、きっと大人になっていくから。




「ま、それ以前に、次はあの二人が協力してくれないかもね」


クスクスと楽しそうに笑って言うソンミンに向かって首を傾げると、
ソンミンはキュヒョンに顔を近づけた。


「あの二人には、あの二人のお話があるでしょ？」



ああ、そういうことか。



キュヒョンが一緒になって笑うと、ソンミンはふわりと微笑む。
そしてもう一度ギュッとキュヒョンに抱き着きなおして、今度も、はっきりとはしない声で言った。



「キュヒョナもちゃんと、僕を捕まえておいてよ。」




―そんなの、当たり前じゃないか…




返事は声にならなかったのに、なんだか伝わった気がする。
その証拠に、ソンミンはさっきよりも優しく、愛しい温もりを持って、キュヒョンを抱きしめた。



そしてキュヒョンも、溢れそうな想いを胸に、優しく抱きしめかえす。






試合終了のホイッスルが今、聞こえたような気がした。







</span> ]]>
		</content:encoded>
		<dc:subject>-</dc:subject>
		
		<dc:date>2012-09-23T14:27:51+09:00</dc:date>
		<dc:creator></dc:creator>
		<dc:publisher>WOX</dc:publisher>
	</item>
	<item rdf:about="https://era12296313.novel.wox.cc/entry13.html">
		<link>https://era12296313.novel.wox.cc/entry13.html</link>
		
				
		<title>8</title>

		<description>息が止まる。
周りの空気が静かに固まっ…</description>
		<content:encoded>
			<![CDATA[ <span style="font-size:small;">息が止まる。
周りの空気が静かに固まっていく。


「はーい！お疲れ様ー！！」


やけにしんとしているスタジオに、不釣り合いな明るいカメラマンの声が響く。
すっかり固まってしまったキュヒョンは、スタッフたちが動き出しても、体を動かせなかった。


「キュヒョナ、ちょっと」


ぼうっとその場で固まっていると、怒ったような口調のヒョクチェに腕を掴まれる。
ハッとなってあっさりと手の力を抜くと、キュヒョンの体はグイグイとヒョクチェに引っ張られた。

声が出ない。頭の中が分からない。
なんであんなことをしたんだろう。全然分からない。こんなの、自分らしくないじゃないか。





ぐんぐんとヒョクチェに引っ張られる。
この華奢な体のどこにそんな力があるのか。

ただその力に身を任せて歩いていると、いつの間にか楽屋まで戻ってきていた。


「キュヒョナ！お前何考えてんだよ！！」


部屋に入るなり、血相を変えたヒョクチェが勢いよく振り向いて言った。
どうせそういうことだろうと分かっていたキュヒョンは、短く笑って軽く頭を下げる。


「撮影中だったんだぞ！？下手したら大変なことに…」

「はいはい。もう終わったことじゃないですか。」

「なっ…仕事はちゃんとやれってあれだけ言ったのに…」

「終わりよければすべてよし、です。」


キュヒョンが得意げに言うと、ヒョクチェは呆れたように笑った。
結局、この人は大切な人に甘い。
そういういいところに、早くドンへヒョンも気づけばいいのに。


ため息をはきだすヒョクチェの肩に手をポンと置くと、
「なんだよ、それ」と笑われた。
でもすぐに真剣な表情になったヒョクチェは、キュヒョンを真っ直ぐ見つめて言った。


「キュヒョナもちゃんと、これからも素直になれよ」


先に楽屋を出ようとするヒョクチェの背中に、そっちこそ、と心の中でぶつけてやった。
返事は返ってこない。本当に、素直じゃない人だ。


そういうところも含めて、ドンへヒョンに愛されて欲しい。


　＊＊＊＊＊＊＊


暫く時間を置いて楽屋を出た。
廊下の冷えた空気を胸いっぱいに吸い込むと、喉のあたりをひんやりとした何かが伝う。

スタジオに戻ろうとして体の向きを変えると、走ってきたのか、上がった息のソンミンがいた。


「…遅かったから、迎えに来ちゃった…」


ソンミンは照れたように笑って、キュヒョンに近づく。
汗をかいたのに甘い匂いが漂うこの人は、本当に不思議だ。


「結構時間たったけど…具合でも悪かった？」

「や、違うけど…」

「じゃあ、考え事？」


ソンミンが細い肩を揺らして笑う。
ほんの少し意地悪っぽい言い方に、キュヒョンは戸惑った。
いつの間に、こんな顔をするようになったのだろう。そんなに、魅力的にならないでほしいのに。


「キュヒョナの考えてたこと、なんとなく分かるかも」

「え…」

「なんなら、当ててあげようか？」


ソンミンはキュヒョンの耳に口元を近づける。
久しぶりに近づく距離。鼻孔を掠めるふんわりとした匂い。

これで心臓が高鳴らないわけがない。


ソンミンはフッと小さく笑って、いつもより少しだけ低い声で言った。





―キュヒョナが考えてたことって、僕のことでしょ？





「…大当たり、かも。」


なんとなく言葉を濁して言うと、ソンミンは楽しそうに笑った。
耳のあたりに集まった熱が冷めなくて、その熱が顔まで届きそうで怖い。

いつだってやっぱり、彼には敵わない。
最初から無駄だということなんて、知っていたのに。


「ねえ、ミニ」

「ん？」

「ミニは、誰の恋人なわけ？」


頑張って意地悪っぽく言ってみたのに、なんだか拗ねたような言い方になってしまう。
気づかないでほしいのに、案の定ソンミンはフフッと笑って、キュヒョンを見つめた。


「そんなの、キュヒョナに決まってるじゃん」



今ならたぶん、最高ににやけた顔を撮ることができる。
集まりかけていた熱はさっと引いて、代わりに胸の奥から込み上げてくるような暖かさを感じる。



やっぱり彼には敵わないけど、今夜は、彼は僕には敵わないだろう。


それは、甘い夜の前兆。





</span> ]]>
		</content:encoded>
		<dc:subject>-</dc:subject>
		
		<dc:date>2012-09-23T14:26:40+09:00</dc:date>
		<dc:creator></dc:creator>
		<dc:publisher>WOX</dc:publisher>
	</item>
	<item rdf:about="https://era12296313.novel.wox.cc/entry12.html">
		<link>https://era12296313.novel.wox.cc/entry12.html</link>
		
				
		<title>7</title>

		<description>スタッフに用意されたパイプ椅子に腰かけ…</description>
		<content:encoded>
			<![CDATA[ <span style="font-size:small;">スタッフに用意されたパイプ椅子に腰かけてコーヒーを啜っていると、
肩をポンと叩かれる。

キュヒョンが顔を上げると、そこには困ったように笑うヒョクチェがいた。


「ソンミニヒョンと休憩いかなかったの？」

「…まあ、ドンへヒョンがいるし…」


愛想笑いを浮かべて言うと、ヒョクチェも隣の椅子に腰を落とす。
キュヒョンが缶コーヒーを差し出すと、ヒョクチェは笑って受け取った。


「次って、四人での撮影だよな…」


気が重そうに言うヒョクチェは、遠くを見つめたままズズっとコーヒーを啜った。
そういえば、ヒョンはコーヒーダメなんだった、とキュヒョンが思い出したころには既に、
眉を寄せてコーヒーと睨みあうヒョクチェがいた。


「キュヒョナ、お前こんな苦いの飲んでんの？」

「普通ですよ、普通。誰だって飲みます」


キュヒョンがそういうと、ヒョクチェは唇を尖らせる。
不機嫌なときによくやる癖だ、と、前に一度ドンへが言っていた気がする。

ヒョクチェは二、三口程しか飲んでいない缶コーヒーをぶっきらぼうにキュヒョンに返す。
キュヒョンは苦笑してそれを受け取ると、音を立てずにコーヒーを吸い込んだ。

それほど苦くはないコーヒーだ。
第一無糖ではないし、どの世代の人だって飲めるような、口どけの良いコーヒー。
いくら微糖だとはいえ、そこまで顔を顰める必要なんてない。


「さっ、そろそろ行くか」


カメラマンの方に向かって歩き出したヒョクチェの後を追うように、キュヒョンも立ち上がる。
歩き出す前に、一口だけ啜ったコーヒーは、ほんの少しだけ苦かったような。



　＊＊＊＊＊＊＊


左からドンへヒョン、ヒョクチェヒョン、ミニ、俺。


こういう並べ方にした意図はよく分かるが、今はただのお節介だ。
要するに、ペアカップル同士を並べたいんだろう。心底、困る。


「じゃあまず、ペアで仲良さげにしてみてー！」


カメラマンの声を合図に、四人はポーズを取り始める。
ドンへとヒョクチぇェは向かい合って楽しげにハグをしていて、周りからは賛美の声がとんだ。

キュヒョン達だって、いつまでも何もしないわけにはいかない。
なるべく早く終わらせたいし、そのためにはOKを貰えるようなポーズにしなければいけないし…


「うわっ！！！」


キュヒョンが悶々と考えていると、突然背中に重みがかかる。
よろけてしまった体制を整えると、首に白い腕が巻き付いてきた。


「えへへー！良いと思わない？このポーズ」


そういってカメラに向かって満面の笑みを浮かべるソンミンは今、キュヒョンの背中に乗っている。
世間一般で言う…おんぶ、なのだろうか。

キュヒョンはおずおずとぶら下がっているソンミンの足を手で押さえる。
ここまで来ると完全おんぶ。カメラマンは目を丸くしている。


「ウネには負けていられないよねっ！！」


ソンミンはにっこりと笑って、キュヒョンの首をぎゅうっと体を近づける。
妙にくすぐったくて頬を緩めると、眩い光と共にフラッシュ音が聞こえる。


キュヒョンとソンミンは顔を見合わせて笑う。

この距離で目が合うと、ソンミンの髪から香る匂いとか、真っ白な肌とか、
至近距離に感じすぎてしまって、なんだか落ち着かない。

ましてやおんぶなんて、お互いの体温を肌で感じるし、程よい重みが心地いいし、
首筋にかかる吐息が熱いし。


「よしっ！ペア同士はオッケーだよー！！」


明るい声が響くと、ソンミンは軽々とキュヒョンの背中から降りる。
温もりを失った背中に寂しさを覚えるよりも先に、次の指示が聞こえた。


「じゃあ次は四人で仲良くね！」


カメラが四人を捕える体制に入ると、いそいそとドンへがキュヒョン達に近づいてくる。
その途端、勢いよくキュヒョンに抱き着いたドンへは、その勢いのままソンミンまでをも抱きしめた。

両手の中にキュヒョンとソンミンの二人をすっぽりと包んで、ドンへはフラッシュ音を待つ。


「ちょ…ドンへヒョン。重い、暑い、苦しい。」

「もうドンへ！！苦しいってば！」


二人に批難の声を浴びながら、ドンへはニコニコとしている。
何回か光がちったところで、ドンへは二人からパッと離れて、ヒョクチェの方へ向かう。
さっきのように勢いをつけてヒョクチェに後ろから抱き着いて、軽くパンチを食らっていた。



ヒョクチェの顔が、赤い。






キュヒョンはドンへに抱き着かれているヒョクチェに近寄って、真正面から抱きしめる。
というよりは、ヒョクチェを真正面から抱きしめたことによって、ドンへの背中に手が回り、
ドンへのように二人いっぺんに抱きしめる形になった。


「キュヒョナ、暑苦しい…」

「キュヒョナー！！俺も抱きしめたいー！！！」


鬱陶しそうな声を出すヒョクチェとは対照的に、呑気で明るい声を出すドンへ。
パシャリと音がして二人から離れると、ヒョクチェは本当に暑かったのか、
荒っぽい呼吸を繰り返した。

ドンへはというと、悪戯っぽい笑顔を顔に貼りつけて、ソンミンの方へと向かってしまう。
ガバリとソンミンに抱き着いたと思えば、次の瞬間、ちゅっと可愛い音を立ててソンミンにキスをする。
もちろん、頬に。


「なっ…びっくりするでしょ！いきなり！！」

「へへーん！ヒョンかわいー！！」


ドンへはすりすりとソンミンに頬ずりをする。
キュヒョンが反射的にソンミンを見ると、満更でもないような、くすぐったそうな笑顔を浮かべていた。






―触るなよ。俺のものなのに…



―ミニだって、何喜んでんだよ。ドンへヒョンの恋人になったって、冗談じゃないの？本気だったの？









ほぼ無意識のうちにそんな考えが浮かんで、無意識のうちに、キュヒョンは二人に近づいていた。


「もうドンへってば……うわッ！！」


キュヒョンはドンへの肩を掴むソンミンの腕を力強く引っ張る。
バランスを崩したソンミンを受け止めると、当たり前のように抱きしめる。


「な、ちょ……キュヒョナ？」

「…ミニ」


手が勝手に動く。口が勝手に開く。
驚いたようなドンへの視線と、見守る様なヒョクチェの視線がぶつかった。


もういい。もう、我慢なんてできない。



「嫌だ、ミニ…」


力強くソンミンを抱きしめると、白い光がとんだ。
フラッシュ音が聞こえる。これはこれで、いい写真になるのだろうか。

なんてことをぼんやりと考えている間にも、声が勝手に漏れる。


「誰かがミニに触れるのも、ミニが誰かに触れるのも…全部、嫌だ…」


腕の中にすっぽりと収まった小さな体が震えている。
もしかしたら自分だって少しは、震えているかもしれない。


やっぱり、この人には敵わないと思った。





</span>
 ]]>
		</content:encoded>
		<dc:subject>-</dc:subject>
		
		<dc:date>2012-09-23T14:25:06+09:00</dc:date>
		<dc:creator></dc:creator>
		<dc:publisher>WOX</dc:publisher>
	</item>
	<item rdf:about="https://era12296313.novel.wox.cc/entry11.html">
		<link>https://era12296313.novel.wox.cc/entry11.html</link>
		
				
		<title>6</title>

		<description>「はあ…」


キュヒョンが深いため息を…</description>
		<content:encoded>
			<![CDATA[ <span style="font-size:small;">「はあ…」


キュヒョンが深いため息をつくと、隣にいたヒョクチェに脇腹を小突かれる。
そんなヒョクチェだって明らかに不機嫌そうな、嫌悪そうな顔をしている。


「仕方ないって。仕事なんだから。」

「…分かってますよ、そんなの。」


分かっている。分かっているから大変なんだ。


あんなことがあった次の日の仕事がこんな仕事なんて、まるで仕掛けられているみたいで。


「ほら、行くぞキュヒョナ」


キュヒョンはかったるそうにヒョクチェに手を引かれ、ずるずるとスタジオに入る。
眩しいライトと騒がしい人の流れに押されて、二人は部屋の中央まで来ていた。


真っ白い背景に包まれて、仲良さげに笑いあう人が二人。
キュヒョンは反射的に眼を逸らし、ヒョクチェの服の袖を引っ張った。


「…仕事に影響だしちゃダメだぞ、キュヒョナ」

「だから、分かってますってば…」


スタッフが声を上げる。
その声にパタパタと愛らしい足音を立てて向かう影を、キュヒョンはじっと追っていた。


―あれだけ悲しそうな顔をしたのなら、どうして今、ドンへヒョンと…



別に、心配する必要なんてない。
言い出したのはあっちだし、ドンへヒョンだって、理由は知ってるんだし。


キュヒョンは欠伸を一つして、肩をコキコキと鳴らす。
そんなキュヒョンに苦笑したヒョクチェと一緒に、ライトの当たる真下へ行く。


「ついてないなぁ、ホント。よりによってこんな雑誌の撮影なんてさ。」


やれやれ、とヒョクチェは肩を竦める。

確かに、ついてない。
この雑誌の撮影は、いわゆる、ペアカップルの撮影だ。
ドンへとヒョクチェのお馴染みカップルに続き、キュヒョンとソンミンだって、
それなりに有名なわけで。

そうなると当然のように二人での撮影になり、せっかくそろったんだから…なんて理由で、
四人での撮影も入ってしまった。



「はーい、じゃあまずはドンへさんとウニョクさんお願いしまーす！」


カメラマンの声に元気のいい返事を返して、ヒョクチェはすたすたと行ってしまう。
嫌なんだろうな、とは思っていても、これは仕事だ。どうしようもない。


ヒョクチェのいない左側をぼんやりと見つめていると、ふと、そこに影が落ちる。
驚いて顔を上げると、いつも通り―…いや、いつもより少し妖艶な笑みを浮かべたソンミンがいた。


「ドンへとヒョクチェ、すっごく仲良く撮ってるよね」

「…うん…」

「僕たちも、頑張らないと」





―何を？何をがんばれって言うんだよ。今さら…



キュヒョンがぐっと唇を噛み締めると、二人の撮影の終了を告げる声が響く。
よし、と声を弾ませて立ち上がったソンミンにつられて、キュヒョンも立ち上がる。


「行こっか、キュヒョナ」


先を歩き出してしまったソンミンを追うように、キュヒョンは小走りになる。
途中、撮影を終えたヒョクチェとすれ違うと、ヒョクチェは困ったような、悲しいような笑顔を
キュヒョンに向けた。

上手くはいかなかったんだろう。きっと。


キュヒョンは優しい視線をヒョクチェに送る。
それに気づいたヒョクチェは少し照れたように笑って、顔を上げて、パクパクと口を動かした。


が・ん・ば・れ―


苦笑いで、交わすしかなかった。



　＊＊＊＊＊＊＊


するりとソンミンの腰に手を回すと、カメラマンから声がとんだ。


「おっ！そういう感じすっごいいいよー！！」


キュヒョンはため息をつく。
さっきから、これでもかというほどスキンシップをしているのに、なかなか終わらない。
ドンへとヒョクチェの時にはすぐ終わったのに、絶対に二人以上はかかっている。


一方、ソンミンはそんな事気にしていないようで、周囲にもキュヒョンにも明るく振る舞った。
キュヒョンに抱き着いて来たり、回された腕を触って見たり。なんだか、心臓に悪いことばかりしてくる。


「なかなか終わんないね、俺たち」

「そお？キュヒョナが笑わないからだよー」


ソンミンは楽しそうに笑って、キュヒョンの頬を軽くつねる。
微妙な痛みとくすぐったさに頬が緩んだ瞬間、パシャッと言う音がして、あたりが白い光に包まれた。


「今の顔すっごく良かったよ！お疲れ様！！」


満足げな笑顔のカメラマンを見て、キュヒョンとソンミンは顔を見合わせて苦笑した。


「ほら、やっぱりキュヒョナが笑わないからだったじゃーん」

「さっさとミニがつねってくれれば良かったの。」

「えー？何それぇ」


バシッとキュヒョンの肩を叩いて笑うソンミンの仕草に、思わず顔の筋肉が緩む。
いちいち女の子ぽいと言うか、愛らしくて、可愛くて。

冗談のつもりで、キュヒョンはソンミンの背中に手をかけた。
本当に、冗談のつもりで。可愛くて仕方がないこの人を、抱きしめようと思ったその時。


「ソンミニヒョン！！！」


突然背後から声がして、キュヒョンは慌てて手を離す。
行き場をなくした手が宙を泳いでいると、かけてきたドンへが言った。


「もう撮影終わったんでしょ？一緒に休憩いかない？」


それはもちろん、ソンミンに向けて。



ソンミンがドンへとキュヒョンを交互に見る。
なんだかその視線に苛立って、多分今、最高に怖い顔をしていると思う。
そんなに申し訳なさそうに見られると、自分が惨めに思えて仕方がないじゃないか。


「行ってきなよ、ミニ。俺はヒョクチェヒョンと休憩するから。」


自分でもびっくりするほど、冷たい声が出た。


キュヒョンはドンへとソンミンににっこりと笑いかけて、二人の隣と通り過ぎる。
なんだか背中に視線が刺さったけれど、そんなことはどうでもいい。


面倒くさいことになった。
もしあの場で抱きしめてしまっていたら、もっと面倒くさくなっていたかもしれない。
ちょっとだけ、ドンへヒョンに感謝をしなければ。






キュヒョンはスタジオの端にあるパイプ椅子に腰を落とす。
チラリと二人の方を見ると、ばっちりとソンミンと目が合った。



すごく悲しそうな、寂しそうな瞳をしていた。





</span> ]]>
		</content:encoded>
		<dc:subject>-</dc:subject>
		
		<dc:date>2012-09-23T14:24:01+09:00</dc:date>
		<dc:creator></dc:creator>
		<dc:publisher>WOX</dc:publisher>
	</item>
	<item rdf:about="https://era12296313.novel.wox.cc/entry10.html">
		<link>https://era12296313.novel.wox.cc/entry10.html</link>
		
				
		<title>5</title>

		<description>キュヒョンが困ったように笑うと、ヒョク…</description>
		<content:encoded>
			<![CDATA[ <span style="font-size:small;">キュヒョンが困ったように笑うと、ヒョクチェは更に勢いをつけた。

さっきからずっとこれだ。
すっかり酔いの醒めたヒョクチェに一連の流れを説明すると、
これでもかというほど謝ってくる。


「ごめん！俺何も覚えてなくて…マジでごめん！！！」

「い、いえ…そんなに謝らなくても…」


ヒョクチェは只管謝って、顔の前で両手を合わせる。
確かに、ヒョクチェはべろんべろんに酔って、店の人だけでなく、
キュヒョンにだって迷惑をかけた。それは、いろんな意味で。


「まあ、騒ぎとかにはならなかったですし…全然大丈夫ですよ」

「はあ…ホントにごめん…ちょっと飲み過ぎて…」


二日酔いなのか、ヒョクチェは頭を両手で押さえる。
そんな姿に苦笑すると、ふとあの出来事が頭を過る。

ああなると、やっぱり、そういうことになってしまうのだろうか。


「いいんですよ、別に。それより俺、ちょっと頼みごとがあって…」


恐縮そうにキュヒョンが言うと、ヒョクチェは待っていたかのように顔を上げた。
情が熱いヒョクチェならきっと、迷惑をかけたお詫びに、と食いついてくることは分かっていた。


「いい！何だって聞くよ！！」

「じゃあ、お願いしたいんですけど…」


キュヒョンが顔をヒョクチェの耳に近づける。
なんだかこの距離に妙な違和感を感じたが、キュヒョンは構わず言った。









「はあ？」




案の定、耳から離れて聞こえたヒョクチェの第一声は、これだったけど。


「ちょ、待て。キュヒョナ意味分かんない。」

「分かんなくないですよ。元はと言えばヒョクチェヒョンのせいなんですから」

「いや、だからって…」


ヒョクチェはあたりを見回した。
大方、その行動の意図は読めている。分かりやすいのだ、この人は。


「あっちもきっと本気だから、心配することはないですよ。」

「いやいや！心配するだろ！！つーか俺を巻き込むなよ！」

「…なんでも聞くって、言ったじゃないですか」


キュヒョンが声の調子を少し下げて言うと、ヒョクチェの肩がビクッと震える。
ヒョクチェの立場からすれば、こんな頼み事は絶対に呑みたくないだろう。
それでも、頼まずにはいられない。そんな状況になってしまった。


「…じゃあ、ホントに振りだぞ。振り。」

「分かってますよ、そんなの。」


ヒョクチェは呆れたように笑って、楽屋を後にしてしまう。

もう帰っちゃうのかな。あんな二日酔いで？


なんだかそう思うとうずうずして、キュヒョンは後を追うように楽屋を出た。


　＊＊＊＊＊＊＊


「ついてくる必要、なかったと思うけど。」


キュヒョンが送っていくといっても、ヒョクチェはずっとこの調子で不機嫌だ。
別にこれは頼みごととか関係なく、素直に心配しただけなのに。


「二日酔いの人に一人で帰られても迷惑ですから」

「だからって…余計怪しまれるだろ」


ヒョクチェにキッと睨まれる。
なんてこの人は単純で、頭があの事にしか働かないんだろう。
意識しすぎ。なんて言ったら怒られるだろうけど、本当だ。


別に、「付き合ってるふりをしてください」と言っただけなのに。







仕方がなくヒョクチェの2,3歩後ろを歩いていると、
目の前のヒョクチェの体がぐらりと揺れた。
キュヒョンが慌てて抱きかかえると、顔を歪めて頭を押さえるヒョクチェと視線がぶつかる。
言わんこっちゃない、そう言った目で見つめると、ヒョクチェは不機嫌そうに頬を膨らませた。


「二日酔いの日に仕事だったんですから、眩暈くらい当然でしょう？」

「う…分かったから、早く離せ」


両手でキュヒョンの胸板を押すヒョクチェが可笑しくて、キュヒョンは思わず笑ってしまう。
ヒョクチェに一喝されて手を離すと、ホッとしたようなため息が聞こえた。


「大丈夫なんですか？眩暈したのに…」

「大丈夫！そんなにやわじゃないし…っ…」


勢いよくキュヒョンに言い返したヒョクチェは、再びふらついて頭を押さえた。
相当きているのだろう。あれだけ飲んだら、当たり前だけれど。


キュヒョンが支えようと手を伸ばすと、あっさりパシンッと振り払われてしまう。
それが面白くなくて、隙をついて腕を掴むと、ヒョクチェはしまった、という様な顔になる。


「まったく、強情にもほどがありますよ。可愛くない。」

「なっ！俺は可愛くなくていいんだ！！別に！！！」

「はいはい。とにかくもう酔っ払いに迷惑かけられるのはごめんです」

「キュヒョナ！弱み握るとかズルいぞ！！」


ぎゃあぎゃあ言いながらヒョクチェとキュヒョンは取っ組み合いになる。
掴んだままのヒョクチェの腕を引こうとすると、掴まれていない方の手でパンチを食らう。
キュヒョンが負けずに引き寄せて、もう一発ヒョクチェにパンチを食らいそうになった時だった。





「キュヒョナ…？」




声がして勢いよく振り返ると、Ｔシャツにパーカー姿のラフな格好をしたソンミンと目が合う。
信じられない、という様な無理した笑みを浮かべているソンミンの隣には、
これまたラフな服を身にまとったドンへがいた。


「二人とも先にいなくなっちゃってたから…心配したんだけど…」


ソンミンの言葉の語尾が小さくなっていくと、ドンへが口を挟んだ。


「ま、二人とも一緒なら、心配することもないね」


しまった。
ここに来て初めて、キュヒョンは後悔をする。

恐る恐るヒョクチェの顔を覗き込むと、予想通り、今にも泣きそうな顔をしている。


「ソンミニヒョン、行こ。」


ドンへはソンミンの腕を掴んで足早に二人のわきを通り過ぎる。
取っ組み合いになったまま固まってしまった二人は、しばらくそのまま動けなかった。





なんて面倒くさいことになったんだろう。


今になって、遅かれながら気づいてしまった。




</span> ]]>
		</content:encoded>
		<dc:subject>-</dc:subject>
		
		<dc:date>2012-09-23T14:22:43+09:00</dc:date>
		<dc:creator></dc:creator>
		<dc:publisher>WOX</dc:publisher>
	</item>
	<item rdf:about="https://era12296313.novel.wox.cc/entry9.html">
		<link>https://era12296313.novel.wox.cc/entry9.html</link>
		
				
		<title>4</title>

		<description>キュヒョンは絶句した。
玄関とくぐると…</description>
		<content:encoded>
			<![CDATA[ <span style="font-size:small;">キュヒョンは絶句した。
玄関とくぐるとすぐに、強くて癖のあるアルコールの匂いが鼻につく。

不思議に思ってリビングを覗くと、予想通り、ぐったりと机に突っ伏すソンミンがいた。

キュヒョンはヒョクチェを背負って、ソンミンを揺すった。

「ミニ、こんなところで寝たら風邪ひくって。」

「ん…」


ソンミンはもぞもぞと動いて、眩しそうに目を開けた。
真っ赤に充血した目と同じように、いつもは白い肌が真っ赤に染まっている。


「はれ…？きゅひょら…？」

ソンミンは手探りでキュヒョンの服を掴む。
上手く呂律が回らないだけでなく、握力だって相当弱っていた。

いったいどれだけ飲んだのかだって、想像できない。
ワインのボトルは丸々二本空になっているが、実際のところ、それだけではないはずだ。


「んん…なんれきゅひょら…？はれぇ？ひょくちぇ？」


ソンミンは潤んだ瞳でキュヒョンを見上げる。
キュヒョンの背中ですやすやと眠るヒョクチェを見つけると、ソンミンは不機嫌な顔をした。


「やっはり…きゅひょらはそういうことなんらね」

「はあ？」

「きゅひょらがそのきなら、ぼくらってやるんらから」


キュヒョンが首を傾げると、ソンミンはポケットから携帯を取り出した。
酔いつぶれているのが嘘のように素早く通話ボタンを押す。
キュヒョンが唖然とそれを見ていると、ソンミンは勝ち誇ったように笑った。


「こうかいしても、しららいから」


ますます意味が分からない。
酔った勢いで意味不明な行動をとったことならあるが、ここまで狂ってしまったことはなかった。

これじゃヒョクチェヒョンとおんなじ。
所謂、ただの酔っ払い。


呆れるキュヒョンとは裏腹に、ソンミンはワクワクしながら呼び出し音を聞いている。
プツリと呼び出し音が切れると、すごい勢いで喋りだした。


「あ！ろんへ！！はのね、おねらいがあるんらけろ…」


ソンミンは、電話中、頻りに嬉しそうに頷いていた。
キュヒョンはそれを、面白くなさそうに見つめる。


―せっかく帰ってきたやったのに。帰ったらすぐに、抱きしめるはずだったのに。



なかなか終わらない長電話。
キュヒョンの苛立ちは大きくなっていく。
そんなことはつゆ知らず、ソンミンは愛らしい声で会話を続けている。

キュヒョンのことなんか、見向きもせずに。



―ムカつく。




キュヒョンは勢いよくソンミンの手から携帯を取り上げる。
あっさりと携帯はキュヒョンの手の中に収まった。


「むららよ、きゅひょら」


ソンミンは楽しそうに笑って、キュヒョンを見つめた。


「ぼくはもう、ろんへのこいびとらんらから」



キュヒョンは耳元に携帯を近づける。
流れ込んできたのは、心配そうにソンミンの名前を呼ぶドンへの声だった。


「きゅひょらだって、ひょくちぇがいるもんね」


いつもは絶対見せないニヒルな笑みを、ソンミンは浮かべた。
いつの間にか無意識に、キュヒョンは終話ボタンを押してしまっていた。



ミニって結構、バカかもしれない。


この俺を、怒らせたんだから。




</span> ]]>
		</content:encoded>
		<dc:subject>-</dc:subject>
		
		<dc:date>2012-09-23T14:21:35+09:00</dc:date>
		<dc:creator></dc:creator>
		<dc:publisher>WOX</dc:publisher>
	</item>
	<item rdf:about="https://era12296313.novel.wox.cc/entry8.html">
		<link>https://era12296313.novel.wox.cc/entry8.html</link>
		
				
		<title>3</title>

		<description>結局、定員に追い出されるような感じで店…</description>
		<content:encoded>
			<![CDATA[ <span style="font-size:small;">結局、定員に追い出されるような感じで店を出た。
突き刺さる様な視線に耐えるキュヒョンとは裏腹に、ヒョクチェは呑気に眠っている。


まったく、事の発端は誰だと思ってるんだか…


キュヒョンは仕方なく、ヒョクチェを車まで運ぶ。
がっしりとキュヒョンの肩を掴んでいるヒョクチェの手をはずそうと、
キュヒョンがヒョクチェに触れたときだった。


「ん…きゅひょなぁ？」


腫れた目を擦りながら、ヒョクチェが舌足らずな声を出した。
起きてくれないくて良かったのに。この人は、どこまで人に迷惑をかけるんだか。


「ヒョクチェヒョン、ちゃんと立ってください。もう帰りますよ」

「えぇ～？もうかえっちゃうの？」


ヒョクチェは駄々をこねるようにぐずりだす。
しまいには、ずるずると力なく座り込んでいって、やだやだと連呼する。

もう、視線が痛いどころの話ではない。
ここまでくれば完全な不審者で、立ち位置から言えば…
多分、キュヒョンの方が、怪しい。


「ほらヒョン。早く立って。置いていきますよ」

「やあだぁ…もう眠いのぉ」

「眠いんだったら、帰ってから寝てください。」


キュヒョンが腕を掴むと、ヒョクチェはあっさりと立ち上がる。
ずかずかと人の車に先に乗り込んで、ちゃっかり助手席に腰かける。

キュヒョンはため息をつきながら、車に乗り込んだ。
隣を見ると、すやすやとヒョクチェが眠っている。


本当に、この人は…


呆れたように笑いながらも、キュヒョンは車を動かした。
ほんのり香るアルコールと、心地よい振動で、キュヒョンはうとうとし始める。
赤信号で止まると、ついに瞼が重くなる。
キュヒョンは頭を振って、助手席を見た。

ヒョクチェが、頭を大きく揺らしながら眠っていた。


「おーい、ヒョン。危ないですよ、そんな寝方したら。」

「ん…」

「まったく…ほら、ヒョクチェヒョンってば…」


頭を押さえようとキュヒョンが手を伸ばした瞬間、
コテンと膝に程よい重みと暖かさが伝わる。
慌てて自分の膝を見ると、寝息を立てて眠るヒョクチェがいた。


「嘘だろ…」


今度こそ、キュヒョンは心の底から深いため息を漏らす。
ふと前を見ると、信号は青く光っていた。
急いで発車させるも、膝の上のヒョクチェの存在がむず痒くて、どうも落ち着かない。

何とか移動させようと、キュヒョンはヒョクチェの頭に手をかけた。
さらりと綺麗な金髪が揺れて、赤く火照った肌が見える。

普段はそんなに見ていなかったのに、よく見ると、睫が長くて、
いい匂いがして、真っ白な肌が引き立たせている真っ赤な唇は、妙に色っぽい。


なんだか、煽られる、ような…



キュヒョンはハッとなって、無理に笑った。

煽られる？俺が？ないない。そんなことは絶対にない。


絶対にミニの方が睫が長いし、良い匂いがする。
それに、白い肌が引き立たせている唇は、ミニの方がそそるように色っぽい。

それだけじゃない。ミニのことなら、いくらだって喋っていられる。



キュヒョンはもう一度、ヒョクチェを見つめた。
寝息から漂う甘いアルコールの匂いだって、ミニを抱きしめたときに香る匂いには劣る。



車を急がせる。

会ったら思いっきり抱きしめてやろう。甘いアルコールの匂いを消すように、甘く。




</span> ]]>
		</content:encoded>
		<dc:subject>-</dc:subject>
		
		<dc:date>2012-09-23T14:19:33+09:00</dc:date>
		<dc:creator></dc:creator>
		<dc:publisher>WOX</dc:publisher>
	</item>
	<item rdf:about="https://era12296313.novel.wox.cc/entry7.html">
		<link>https://era12296313.novel.wox.cc/entry7.html</link>
		
				
		<title>2</title>

		<description>ぼやぼやとする視界の中で、キュヒョンは…</description>
		<content:encoded>
			<![CDATA[ <span style="font-size:small;">ぼやぼやとする視界の中で、キュヒョンは掛け時計を捕える。
しばらくは時計を見つめていたものの、我に返った途端、キュヒョンは飛び跳ねた。


時計の針は、二本とも真上を指していた。



「嘘だろ…」


そうだ。
朝目が覚めたものの、ミニが出かけたから、つまんなくて二度寝して…
まさか、昼まで寝てしまうなんて。
しかも自分は、何も身に着けていない。
この状況で誰も部屋に入ってこなかったことを、キュヒョンはありがたく思うしかなかった。


キュヒョンは、床に散らばった服を拾い上げる。
ひんやりとする服に腕を通すと、ベットの上に転がっている携帯電話が揺れた。


「もしもし？」

「あ、キュヒョナ？僕だけど。」


キュヒョンは分かりやすく不機嫌な顔をする。
表情なんて見えていないのだから、無意味だなんて、分かっていたのに。


「ミニ？どうかした？」

「それがさ、ヒョクチェが店で酔いつぶれちゃって…暴れっちゃってるんだけど、今からこれない？」



これない、と言うよりも先に、深いため息が漏れた。
そのため息に気づいたのか、キュヒョンの耳に、焦ったような気配が伝わる。
それでいい。俺のことで、もっともっと、困ればいいんだ。


「あの…無理だったら、いいんだ。別の人に頼むから…」

「いい。場所どこ？今から行くから。」


ソンミンがおずおずと店の名前を告げると、キュヒョンはブツリと電話を切った。
少しでも、不機嫌さが伝わるように。
なんて、時々、自分の子供っぽさに嫌気がさす。
それでも今は、余裕なんて全然なかった。


ミニが困った顔をするときは、全部俺のせいで、

ミニが嬉しそうに笑うのは、全部俺のおかげで、

ミニが辛くて泣いてしまう時は、全部、俺だけの…


　＊＊＊＊＊＊＊



「おお～！きゅひょなだぁ」


店に入るなり、キュヒョンの腰にヒョクチェが巻き付いてきた。
相当飲んだのか、白い頬はすっかり真っ赤になって、巻き付いてきた体はどっしりと重い。
キュヒョンは呆れたように笑いながらも、心の中で、ヒョクチェの頭を小突いてやった。


「ちょっと、ヒョクチェ。もう帰るんだってば」


キュヒョンの腰をがっしりと掴んでいる腕を、ソンミンが無理やり引き剥がす。
いつもの愛らしい目をキッと尖らせ、口調も、なんだか怒っているように聞こえる。
しかし、ヒョクチェはそんな様子に気づかず、自分の腕を掴んでいるソンミンの手を振り払って、
するりと腕をキュヒョンの首に回した。


「ん～…おれのきゅひょなぁ…」


ヒョクチェはすりすりと頬をキュヒョンの頬に押し付ける。
ほんのり甘いアルコールの匂いと、顔に触れるヒョクチェの綺麗な金髪がくすぐったくて、
キュヒョンは思わずクラクラする。
ぎゅうっと抱きしめられて密着した体が、少しだけ熱くなった気がした。


「ヒョクチェ！ほら、迷惑かけないの！！」

「えぇ～？いいじゃん、べつにぃ」


怒鳴るソンミンをかわして、ヒョクチェはキュヒョンの首元に顔を埋める。
いやいやと言うように顔を振りながら、ヒョクチェの腕の力はだんだん強くなっていく。


「もういい加減帰るんだってば！ヒョクチェ、ほら早く！」

「やだあ…きゅひょなといっしょがいい…」

「ヒョクチェ！！ホントに怒るからね！」

「いやだもん、ぜったい」

「ヒョクチェ！！！」


尖ったソンミンの声が、店内に響く。
周りはチラホラとこっちに視線を送る。
びっくりしたように目を見開いたヒョクチェは、脅えるようにキュヒョンの体にすり寄った。


「もう知らないから！！勝手にして！！！」


凄まじい音を立てて、店の扉が閉まる。
キュヒョンは背中に痛いほどの視線を感じ、ヒョクチェを隠すように、
背中に手を回す。
ヒョクチェは驚いたようにキュヒョンを見上げ、へらっと笑った。


「あ～あ…ひょんおこっちゃったねえ」

「ヒョクチェヒョン、怒っちゃったじゃないでしょう？」

「だっておもしろいんだもん。ひょんってばやきもちやいちゃってさぁ」


あひゃひゃ、とヒョクチェは楽しそうに笑う。
ツボに入ったかのように笑い出したと思えば、すぐにスイッチが切れたかのように、
キュヒョンに抱き着いたまま眠ってしまった。


キュヒョンは立ち尽くす。嬉しさで上がってしまう口角を抑えながら。




</span> ]]>
		</content:encoded>
		<dc:subject>-</dc:subject>
		
		<dc:date>2012-09-23T14:18:09+09:00</dc:date>
		<dc:creator></dc:creator>
		<dc:publisher>WOX</dc:publisher>
	</item>
	<item rdf:about="https://era12296313.novel.wox.cc/entry6.html">
		<link>https://era12296313.novel.wox.cc/entry6.html</link>
		
				
		<title>僕の恋人は宣戦布告が得意なのだが。1</title>

		<description>その可愛い顔で、僕を惑わす。

その甘…</description>
		<content:encoded>
			<![CDATA[ <span style="font-size:small;">その可愛い顔で、僕を惑わす。

その甘い声で、僕を揺さぶる。

その全てで、貴方は僕を虜にする。



絶対に勝ち目のない戦いを、僕は挑んだ。




試合開始。敵は、何も知らない貴方だ。


　＊＊＊＊＊＊＊


事が終わった後の部屋は、何だが艶めかしい雰囲気がある。
キュヒョンはその雰囲気に耐えられなくなって、逃げるように寝返りを打った。

隣では、ソンミンが、規則正しい寝息を立てて眠っている。
しっとりと汗で額に張り付いた前髪は、なんだか色っぽくて、見ていられない。
伸ばしかけたキュヒョンの手が、宙を泳ぐ。
いつからだろう。こんなにも、彼に触れるのをためらうようになったのは。


「ん…」


ソンミンがもぞもぞと動く。
ちらりと見えた白く、線の細い腰に、頭がクラクラする。


「ミニ、ほら、もう起きて」

「ん…キュヒョナ…？」


眩しそうに眼を細めたソンミンの頬に、軽くキスを落とす。
パッチリと見開いた瞳が可愛くて、キュヒョンは目を細めた。

本当に、いつからなんだろう。こんなにも、彼を愛しく思うようになったのは。


キュヒョンが優しく頭を撫でると、ソンミンは照れたように笑って、
キュヒョンに抱き着いた。
柔らかい肌の感触。愛しい体温。甘い匂い。
その全てが武器になるなんて、きっと本人は知らないんだろうけど。


「ん、ミニ、起きないと遅刻する」

「ちこく…？って…あ！！！」


ソンミンは勢いよく体を起こす。
こめかみを伝う汗を指でなぞると、不安そうにキュヒョンを見つめた。


「どうしよう…ヒョクチェと約束があったのに…」

「約束？」

「うん…ヤバイ、完全遅刻だ…」


キュヒョンの眉はあからさまに下がったのに、ソンミンは慌てている。
その困った表情さえ、見つめていたいほど可愛くて、抱きしめたいほど愛しい。

すっかり脱ぎ捨ててあった服を着たソンミンは、急かすように
キュヒョンの腕を引っ張る。
気怠そうに嫌がるキュヒョンに、ソンミンは顔を顰めた。


「キュヒョナ、僕ホントに急いでるんだから」


それは何？ヒョクチェヒョンとの約束があるから？そんなに大事なの？

言い立てるようにソンミンをキッと睨むと、
ソンミンは呆れたように肩を竦めた。
キュヒョンの腕を離すと、ソンミンはベットに腰かける。


「ヒョクチェとは、随分前から一緒に出掛けようって言ってて…」

「うん。それで？」

「やっと予定があいたから、絶対に行くって約束して…」


そんなの、理由になってない。
ミニは俺だけを見ていればいい。よそ見する暇なんて、ないくらいに。


―少なくとも、俺は、ミニしか見えていないのに。



そんなことを言ったら、どうせ笑われるのがオチだ。
そんなんじゃない。冗談なんかじゃなくて、本気なのに。


「ま、どうせ今から言っても無駄じゃない？」


吐き捨てるようにキュヒョンが言うと、ソンミンは眉を寄せた。
ゴロンとキュヒョンが横になってしまうと、いよいよ深いため息が聞こえる。


―やめろよ、ため息なんて。俺が好きなら、我慢できるだろ？



いつからだろう。無理やりにでも、繋ぎとめておきたくなったのは。



「でも、キュヒョナ…僕、一応行ってみるから」


そう言うと、ソンミンは部屋を出て行ってしまう。
引き留めればよかったかもしれない。でも、引き留めた所で、なんて言えばいいのか。


分からない。分からないんだ。貴方のことが好きすぎて。



ギュッと唇を噛み締めたキュヒョンの耳に、玄関のドアが閉まる音が届いた。



</span> ]]>
		</content:encoded>
		<dc:subject>-</dc:subject>
		
		<dc:date>2012-09-23T11:52:44+09:00</dc:date>
		<dc:creator></dc:creator>
		<dc:publisher>WOX</dc:publisher>
	</item>
	<item rdf:about="https://era12296313.novel.wox.cc/entry5.html">
		<link>https://era12296313.novel.wox.cc/entry5.html</link>
		
				
		<title>5</title>

		<description>世界には、理屈じゃ説明できないことがあ…</description>
		<content:encoded>
			<![CDATA[ <span style="font-size:small;">世界には、理屈じゃ説明できないことがある。

意味もなく惹かれたり、不意に何かを感じたりするのは、そういうことなんだろう。





きっと、君と出会って、君を好きになったことも。



　＊＊＊＊＊＊＊



教会は、すっかり人気が無く静まり返っていた。
黙ってついてきたが、思えばここに来てすることもなかった。


「ミニがさ、よく教会を見つめてるんだ」


懐かしそうに言うキュヒョンに、ソンミンは首を傾げる。
教会を見つめたことなんてないし、第一教会にあまり行かない。

どこかでぼそっと言ったかと思い記憶を辿るが、そんな記憶はない。


「僕、教会見つめたことないけど…」


ソンミンが言うと、キュヒョンはクスクスと肩を揺らして笑った。
どこか可笑しそうに、そしてもう、悲しそうではなかった。

キュヒョンに惹かれている。
それは、何故か当たり前のようにさえ感じる。


キュヒョンは一つ、大きな深呼吸をした。


「実はさ、もう、今日でここ出てくんだけど。」

「うん…」

「だから、ちゃんと言っておくから。」


キュヒョンはソンミンの手を引いて、ずかずかと教会へ入る。
やはり結婚式があったのか、ほんのりピンク色の一片の花びらが足元に寝そべっている。

そして、キュヒョンは鐘の真下に立つ。
一度見上げてから、思いっきり鐘を鳴らした。


柔らかな音色が、響いた。



「教会を見つめてたのは、九年後のミニ。」

「へ…？」

「僕らは結婚できないって言ってるのに、ずっと見つめてさ」


ますます意味が分からない。
九年後？結婚？キュヒョナは頭がおかしくなったんじゃないか？
ソンミンが難しい顔をして首を傾げていると、キュヒョンが言った。


「会いたいって、言ったんだ」

「え？」

「１７歳のミニに、会いたいって。」


もやりと、心で何かが疼く。
うっすらと頭の中で響いた声は、どこかで聞いたことがある声。


―会えるもんなら、会ってみなよ。きっと、１７歳の僕も、キュヒョナを好きになるから。



それは、聞いたことのある様でない、自分自身の声。



「ねえ、ミニ。僕のこと、好きになった？」

「なっ！！」

「ミニが言ったんだよ。１７歳の自分も、キュヒョナを好きになるって」


心にかかった雲が晴れていく。
ああ、そういうことだったのか。キュヒョナに感じたこの気持ちは。
惹かれている。それでけでは、言い表せないこの気持ちは。


「ちゃんと、好きになってくれたでしょ？」

「…なんだよ、その自信」

「だってミニが言ったんだもん。２６歳のミニが。」



好きになったよ、ちゃんと。

ソンミンは問いかける。キュヒョンに対してではなく、２６歳の、多分キュヒョンと付き合っている自分に。
返事は返ってこないけど、未来の僕は、笑ってくれているような気がした。


「ねえ、キュヒョナ。もしかして、あの時助けてくれたのって…」


もしかしたら、とは思っていた。
それでも、それが嬉しいと思っていたと分かったのは、もしかしたら今かもしれない。


ソンミンは返事を待つ。
自分に笑いかける自分は、楽しそうに見守っているはずだ。



「僕はただ、ミニの恋人だから。助けるのは、当たり前でしょ？」



―好きだよ、キュヒョナ



ちゃんと伝わっているだろうか。
それとも、九年後には伝えられているのだから、いいのだろうか。




鐘の音が、聞こえる。

キュヒョンが優しく、言った。


「僕らには、結婚なんて無理だけど…」



鐘の音が響く。
今度はソンミンが、消えないように強く鳴らした。


「愛してるから、ミニのこと。」



―もしかしなくても、キュヒョナは、この言葉を伝えに、会いに来たのかもしれない。




「またね、ミニ」



キュヒョンの背中が遠くなる。
美しく伸びるバージンロードを歩くキュヒョンの背中は、どこか懐かしかった。


ソンミンはまた、鐘を鳴らす。
どこからか、ブラックコーヒーの香りが入り込んできて、鐘の音と共に教会を満たす。





鐘の音は、ほろ苦い香りと一緒に、いつまでも優しく微笑んでいた。






『僕らには、叶わない夢だけど…









　未来で、待ってるから―』







Black coffee end
</span> ]]>
		</content:encoded>
		<dc:subject>-</dc:subject>
		
		<dc:date>2012-09-23T11:50:30+09:00</dc:date>
		<dc:creator></dc:creator>
		<dc:publisher>WOX</dc:publisher>
	</item>
	<item rdf:about="https://era12296313.novel.wox.cc/entry4.html">
		<link>https://era12296313.novel.wox.cc/entry4.html</link>
		
				
		<title>4</title>

		<description>ソンミンがコーヒーを淹れていると、どこ…</description>
		<content:encoded>
			<![CDATA[ <span style="font-size:small;">ソンミンがコーヒーを淹れていると、どこかから鐘の音が聞こえた。
深く重みのある、穏やかな音色だった。


「なんか今日、結婚式らしいよ。あの教会。」


客足が伸びずに暇なのか、ソンミンの隣で頬杖をついているウニョクが言った。
確かに、耳をすませると、祝福するような歓喜の声がうっすらと聞こえてくる。


「いいよなあ、結婚って。」

「何、突然どうしたの？」


ソンミンが苦笑すると、ウニョクはつまらなそうに膨れた。
鐘の音が少しずつ小さくなっていって、消えた。

音色の余韻が、二人を取り巻く空気を満たす。


「ミニはさ、いないの？好きな子」


その言葉を聞いて、ドクン、と心臓が大袈裟に飛び跳ねた。
余韻の中に、ぼやぼやとキュヒョンの顔が浮かぶ。


ソンミンは苦笑いでウニョクの問いかけをかわして、手を動かし始めた。
鐘の音がまた、聞こえてきた気がする。


　＊＊＊＊＊＊＊



「熱でも、あるんじゃないの…？」


ないよ、と首を振ったキュヒョンは、いたって健康そうだ。
そんな事、ソンミンにだって分かってる。本当に熱がないことぐらい。

店に来てくれてのはいいことだが、今日のキュヒョンはすごく変だ。


「キュヒョナ、具合悪いんだったら病院に…」

「だからぁ、熱なんてないってば。」


そう言ったキュヒョンは、カウンターに立つソンミンのお腹に手を回して抱き着いている。
作業の様子を楽しそうに見つめて、時折、額をソンミンの首筋に押し付ける。

せっかく来たというのに、仕事もしないでこれじゃ、意味がない。

鬱陶しそうに身を捩ってみても、がっしりと回されたキュヒョンの腕からは逃げられない。


「ちょっと、ちゃんと仕事してよ。」

「してるよ、見学。いいでしょ？新人なんだから。」

「新人って言ったって…今まで難なくこなしてきたくせに。」

「ミニ世話係でしょー？大目に見てよ」


キュヒョンは何のつもりか、新人ぶって分からないを連呼する。
おどけたような口調の奥に、ほんの少し悲しそうな息遣いがあった。


「ねえ、ミニ。今ひま？」

「すごい忙しい。」

「暇じゃん。お客さんも少ないしさ」

「いいの！忙しいの！！」


いつまでもまとわりつくキュヒョンが少し迷惑で、でも少し嬉しくて。
意地を張って上げた声に、キュヒョンはクスクスと笑う。
耳元に伝わる声は、奥深くをぞくぞくと刺激した。


『ミニはさ、いないの？好きな子』



思い出すと、不思議と鐘の音が浮かぶ。
この気持ちがそういうことなのかなんて分からないけど、キュヒョナに何かを感じているのは確かだ。

何かに突き動かされるように、惹かれてしまう。
憶えているというよりは、誰かにそう指図されたような…




ソンミンが黙り込んでしまうと、キュヒョンが痺れを切らしたように口を開いた。



「ミニ、今から教会いかない？」


キュヒョンはソンミンの肩に額を乗せて言った。
少し照れくさそうに、声は湿り気を帯びている。



どこからか、鐘の音が聞こえた。


そのリズムに合わせるように、ソンミンは無意識にゆっくりと頷いた。





―大丈夫。僕はきっと、キュヒョナを好きになるから―




</span> ]]>
		</content:encoded>
		<dc:subject>-</dc:subject>
		
		<dc:date>2012-09-23T11:49:02+09:00</dc:date>
		<dc:creator></dc:creator>
		<dc:publisher>WOX</dc:publisher>
	</item>
	<item rdf:about="https://era12296313.novel.wox.cc/entry3.html">
		<link>https://era12296313.novel.wox.cc/entry3.html</link>
		
				
		<title>3</title>

		<description>「いらっしゃいませ…」


これでもう何…</description>
		<content:encoded>
			<![CDATA[ <span style="font-size:small;">「いらっしゃいませ…」


これでもう何回目だろう。
店に入ってくるお客を見て、キュヒョンじゃないと知ってガッカリするのは。
寝坊しました、みたいな感じで、キュヒョンが店に来るのを、ずっと待ってるのに。

あの日から、キュヒョンは店に来ていない。
マスターは呆れて、ウニョクはずっと不機嫌だ。


ソンミンが黙々とコーヒーを淹れていると、肩をポンとたたかれる。


「ねえ、ミニ。」


振り向くと、いかにも不機嫌といった顔をしたウニョクがいた。
昔から、そういう奴た。
自分の身の回りの人のことになると、自分のこと以上に態度に出す。
人を思いやるところが、コイツの長所だと、ソンミンはいつでも思っていた。


「キュヒョナさ、もう５日じゃん。そろそろ様子見てきた方がいいと思うんだけど。」

「様子？」

「そう。それで、さっきマスターに住所教えてもらったから、ミニ行ってきてくれない？」


ソンミンはウニョクが差し出したメモ用紙を受け取る。
紙には、殴り書きなのか、綺麗とは言えない文字で、住所が書かれていた。


「もう今みーんな忙しくてさ。大丈夫？お願いできる？」

「…うん、分かった」


ウニョクはぱあっと笑顔になって、よろしくの一言を言って去って行ってしまう。
昔から、思いやりがあって、明るくて元気で、ちょっとゲンキンな奴で…

そういうところも含めて、ウニョクのことは気に入ってるんだけど。



ソンミンはメモをポケットに突っ込んだ。
心は何故か、弾けるように、踊っていた。


　＊＊＊＊＊＊＊



普通と言えば普通なようで、普通じゃないと言えば普通じゃないのかもしれない。

住所通りに来たところは、家とは言えないようなプレハブの建物だった。
周りには草や苔が生い茂っていて、プレハブは錆びて軋んでいる。
薄っぺらい板の屋根は、今にも吹き飛びそうだった。


ソンミンは恐る恐る近づいて、銅色になったドアをノックする。
そして程無く、キィとドアが開いた。


「はーい…」

「あ、キュヒョナ！」


眠たそうに目を擦りながら出てきたキュヒョンに、ソンミンはホッと安堵する。
キュヒョンは目を丸くしてソンミンを見つめ、呆然と突っ立ったまま。
そんなキュヒョンが何だかおかしくて、ソンミンは思わず吹き出してしまう。


「もう全然カフェに来てないから、様子見に来たんだけど…」

「あ、そっか…」


キュヒョンは眉を下げて笑って、ソンミンを手招きで部屋へ入れる。
ふわりとキュヒョンの香りが漂って、ソンミンはうっとりとした。


どこかで嗅いだことのある匂い。なんとなく落ち着くというか…


ソンミンはハッとなって目を見開く。
肺一杯に空気を吸い込むと、頭の中をすごいスピードで記憶が巡っていく。



違う。違うんだ。キュヒョナとは、まだ一度も会っていない。


記憶の中に、キュヒョンはいない。
でも、確かに、妙な何かを感じるというか…
今まで会ったことがあるというより、本能が何かを伝えているような…



「そこらへんにテキトーに座って」



ソンミンはキュヒョンの言葉でハッと我に返る。
部屋の中を見回すと、殺風景な部屋の中に、なんとも場違いなテーブルが一つ。
生活感のかけらもない部屋に、ソンミンは思わず眉を寄せる。


「キュヒョナ…こんなところで生活してるの？」

「え？」

「いや、なんか暮らしてるような気がしないというか…」


キュヒョンはああ、と納得したように頷いて、ソンミンにコーヒーを差し出す。
ほろ苦い香り。ソンミンの苦手な、ブラックコーヒーだ。


「まあ、どうせすぐに出ていくから、家なんてどこでもいいかなって。」

「すぐに出ていくって？」

「もうそろそろの話。引っ越すって言うか、なんていうか…」


キュヒョンは小首を傾げて、苦笑いを浮かべた。
つられて笑ったソンミンだって、多分苦笑いになってしまっただろう。
ブラックコーヒーを啜ると、なんとも言えない苦みが、口の中に広がって、
ソンミンはまた、苦笑いを浮かべる。


「もうそろそろって…結構急な話だね」

「うん、まあ…もしかして、寂しい？」

「んなっ！！！」


慌てて吹き出しそうになったコーヒーを飲み込むソンミンを、
キュヒョンは楽しそうに笑みを浮かべて見つめる。
勢いよく飲み込んだコーヒーは、心なしか、甘い。

まるで、キュヒョンの笑顔のように。


「冗談だよ、冗談。本気にしなくてもいいのに」

「なっ！本気になんかしてない！！自惚れるな！！！」


キュヒョンは見据えたような目でソンミンを見る。
ソンミンはむうっと頬を膨らませて、すっかり不機嫌だ。


「自惚れてなんかないよ。ちょっとノリで言ってみただけ。」

「………キュヒョナ」

「ん？」

「明日から、絶対店に来てね」




―離れていってしまうなら、ほんの少しでも、君の傍に。





キュヒョンは「分かってる」、と笑って、ソンミンの頭を撫でる。

ブラックコーヒーは、いつの間にか、全部飲み干してしまっていた。



</span> ]]>
		</content:encoded>
		<dc:subject>-</dc:subject>
		
		<dc:date>2012-09-23T11:47:21+09:00</dc:date>
		<dc:creator></dc:creator>
		<dc:publisher>WOX</dc:publisher>
	</item>
	<item rdf:about="https://era12296313.novel.wox.cc/entry2.html">
		<link>https://era12296313.novel.wox.cc/entry2.html</link>
		
				
		<title>2</title>

		<description>予想以上だった。

キュヒョンは教えな…</description>
		<content:encoded>
			<![CDATA[ <span style="font-size:small;">予想以上だった。

キュヒョンは教えなくても仕事ができて、逆に先輩たちに指摘をするほどだった。
厨房担当でも、人手の関係で接客に回されると、淡々と仕事をこなしていった。

その容姿目当てのお客さんがいるということも、あながち嘘ではないかもしれない。


「ミニ、なにボーっとしてんの」

「へ？あっ、ごめん」


キュヒョンの仕事の様子をぼんやり眺めていたら、案の定一喝を食らう。
しぶしぶ手を動かし始めたソンミンを、キュヒョンは意地悪な笑顔で見つめた。

同い年になんて、見えない。
同い年相手に振り回されてるなんて、思いたくない。


ソンミンが上の空で仕事をしていると、ドタドタと煩い足音が迫ってきた。


「ちょっとミニ！今すっごい接客が忙しいんだけど、手伝えない？」


上がった息をそのままに、ウニョクは言った。
綺麗な金髪に、結構整った顔立ち。
ウニョク目当てのお客さんだって、いる、らしい。


「今なら暇だから…すぐ行くよ」


ウニョクの顔を見つめながら言うと、ウニョクは照れ臭そうに笑ってお礼を言った。

ソンミンは手早く作業を切り終えて、カウンターから出た。



「あのー、すみませーん」

「あ、今行きます！！」


ソンミンは急いで客の方へ向かう。
いきなりの注文だったが、だてに何年もやっていない。


「お待たせいたしました。ご注文をどうぞ。」

「えーと…」


ソンミンが声をかけた客は、いかにもサラリーマンと言う様な中年の男だった。
一回はメニュー表をちらりと見たが、すぐにソンミンを見上げるように凝視する。

あまりにもじっと見られるので、ソンミンは苦笑いを浮かべた。


「あ、あの…」

「君、新入り？」


男はまじまじとソンミンを見つめ、口角を上げる。
なんだか背筋に鳥肌が立って、ソンミンは口籠った。


「見ない顔だよね、バイト？」

「あ、いえ…いつもは接客担当じゃないので…」

「へぇ、もったいないなあ。可愛い顔してるのに。」

「なっ！！」


思わず大声を上げてしまって、ソンミンは口を塞いだ。
男は楽しそうにニヤニヤと笑って、ソンミンを舐めるように見る。

ソンミンは声が出なくなってしまった喉を咳払いでただす。
大丈夫だ。落ち着け、相手はお客なんだから。


「あ、あの…ご注文は…？」

「ああ、ごめん。んっと…」


男が視線をメニュー表に戻すと、ソンミンはホッとしたように息を吐いた。
男が声を発するのを待っていると、ちらりと視界に、女の人の接客をしているキュヒョンが映る。

やけに楽しそうに話している。いつもの笑顔とは、違う。

胸の奥が妙にもやもやして、ソンミンは目を逸らした。


キュヒョン笑い声が、耳にざらりと障る。
ぎゅうっと唇を結ぶと、もやもやが喉を突き上げてくるようだった。


「…と、ちょっと君、聞いてる？」

「え？あ！す、すいません！！」


男に話しかけられて、ソンミンは慌てて体を動かす。
ガタンッ、と腕がテーブルに当たり、ソンミンが痛いという前に、コップに入った水が男に掛かった。


「ちょっと…濡れちゃったんだけど」

「す、すいません！今すぐタオルを…」

「や、タオルはいいから。頼みごと聞いてくれる？」

「あ、はい！ホントすいません…」



ソンミンがぺこぺこと頭を下げると、男は楽しそうに言った。


「キスしてくれない？今、ここで。」


ソンミンが驚いて顔を上げると、すぐそばに男の顔があった。
びっくりして後ずさると、腰のあたりに腕を回される。


「僕常連なんだよね。客の頼み事は、聞いてくれるでしょ？」

「あ、あの…」


ソンミンは苦笑いを浮かべて、体を捩る。
男の胸を強く押したのに、あっさりと手は男に掴まれしまう。

ぐっと距離が近くなる。
男の吐息が頬に掛かって、なんだか気持ち悪い。
ソンミンが俯くと、男は無理やりソンミンの顎を掴んで持ち上げる。


「キスしてくれたら、水かけたことはチャラにしてあげるから。」

「ちょ、ちょっと…やめっ…」


思いっきり腰を引きつけられて、あっという間に鼻先と鼻先がぶつかる。
男の顔をもうよく見えないくらいに近くて、思わずソンミンはぎゅっと目を閉じた。


もうだめだ…


男の吐息が唇に掛かる。
ソンミンが思いっきり唇を結んだ時だった。


「お客様、離していただけますか？」


低くて落ち着いた声が、ソンミンの耳に響く。
ゆっくりと目を開けると、キュヒョンに肩を抱かれていた。


「ご迷惑をかけたのは謝ります。しかし、彼も困っていますので。」

「はあ？誰だよ、お前」


男はキュヒョンを睨むように見る。
その視線に動じず、キュヒョンはソンミンの肩に置いた手に力を入れる。
そして、混乱したようにキュヒョンを見つめるソンミンを見て、小さく笑った。


「残念ながらお客様。彼を狙うなら先約がありますので。」


キュヒョンはそう言って、ソンミンを見た。
どこか悲しそうな瞳に、ソンミンは一瞬で引きつけられる。

やっぱり、どこかで見たことがある。

この瞳も、意地悪な笑顔も、得意げな表情も。


心のどこかに、キュヒョンは確かに、いる。


「お詫びなら、後程させていただきますので、本日はお引き取りください。」


キュヒョンがそういうと、男はキュヒョンを睨みつけて去って行った。
ソンミンがホッとして体の力を抜くと、キュヒョンの手が肩から離れる。
ほんの少し、その手を名残惜しそうに見つめて、ソンミンは口を開いた。


「ありがとう、キュヒョナ。でも、仕事があったら助けなくても大丈夫だったのに…」


半分は、強がりだった。
そしてもう半分は、嘘。

結局、本当の気持ちなんてない。
助けてくれて嬉しい、も、本当は怖かったんだ、も。
言ってしまうと、なんだか自分が負けてしまう気がして、声にはならなかった。


「別に、助けたかっただけだし。」

「そっか…ホントに、ありがとね」


キュヒョンは寂しそうに笑った。
その笑顔が苦しそうで、だから余計、目が離せないのかもしれないけど。


「僕は…僕はただ、ミニの…」



キュヒョンは、どこか遠くを見つめて言った。


悲しそうな声。悲しそうな表情。

言葉の続きは聞こえなかったけど、ソンミンはキュヒョンの低い声に耳を澄ます。


続きを聞いたしまったら、胸の奥のうっすらとした疼きが、本物になってしまう気がした。








―僕はただ、ミニの…



</span> ]]>
		</content:encoded>
		<dc:subject>-</dc:subject>
		
		<dc:date>2012-09-23T11:45:11+09:00</dc:date>
		<dc:creator></dc:creator>
		<dc:publisher>WOX</dc:publisher>
	</item>

</rdf:RDF>