その可愛い顔で、僕を惑わす。
その甘い声で、僕を揺さぶる。
その全てで、貴方は僕を虜にする。
絶対に勝ち目のない戦いを、僕は挑んだ。
試合開始。敵は、何も知らない貴方だ。
*******
事が終わった後の部屋は、何だが艶めかしい雰囲気がある。
キュヒョンはその雰囲気に耐えられなくなって、逃げるように寝返りを打った。
隣では、ソンミンが、規則正しい寝息を立てて眠っている。
しっとりと汗で額に張り付いた前髪は、なんだか色っぽくて、見ていられない。
伸ばしかけたキュヒョンの手が、宙を泳ぐ。
いつからだろう。こんなにも、彼に触れるのをためらうようになったのは。
「ん…」
ソンミンがもぞもぞと動く。
ちらりと見えた白く、線の細い腰に、頭がクラクラする。
「ミニ、ほら、もう起きて」
「ん…キュヒョナ…?」
眩しそうに眼を細めたソンミンの頬に、軽くキスを落とす。
パッチリと見開いた瞳が可愛くて、キュヒョンは目を細めた。
本当に、いつからなんだろう。こんなにも、彼を愛しく思うようになったのは。
キュヒョンが優しく頭を撫でると、ソンミンは照れたように笑って、
キュヒョンに抱き着いた。
柔らかい肌の感触。愛しい体温。甘い匂い。
その全てが武器になるなんて、きっと本人は知らないんだろうけど。
「ん、ミニ、起きないと遅刻する」
「ちこく…?って…あ!!!」
ソンミンは勢いよく体を起こす。
こめかみを伝う汗を指でなぞると、不安そうにキュヒョンを見つめた。
「どうしよう…ヒョクチェと約束があったのに…」
「約束?」
「うん…ヤバイ、完全遅刻だ…」
キュヒョンの眉はあからさまに下がったのに、ソンミンは慌てている。
その困った表情さえ、見つめていたいほど可愛くて、抱きしめたいほど愛しい。
すっかり脱ぎ捨ててあった服を着たソンミンは、急かすように
キュヒョンの腕を引っ張る。
気怠そうに嫌がるキュヒョンに、ソンミンは顔を顰めた。
「キュヒョナ、僕ホントに急いでるんだから」
それは何?ヒョクチェヒョンとの約束があるから?そんなに大事なの?
言い立てるようにソンミンをキッと睨むと、
ソンミンは呆れたように肩を竦めた。
キュヒョンの腕を離すと、ソンミンはベットに腰かける。
「ヒョクチェとは、随分前から一緒に出掛けようって言ってて…」
「うん。それで?」
「やっと予定があいたから、絶対に行くって約束して…」
そんなの、理由になってない。
ミニは俺だけを見ていればいい。よそ見する暇なんて、ないくらいに。
―少なくとも、俺は、ミニしか見えていないのに。
そんなことを言ったら、どうせ笑われるのがオチだ。
そんなんじゃない。冗談なんかじゃなくて、本気なのに。
「ま、どうせ今から言っても無駄じゃない?」
吐き捨てるようにキュヒョンが言うと、ソンミンは眉を寄せた。
ゴロンとキュヒョンが横になってしまうと、いよいよ深いため息が聞こえる。
―やめろよ、ため息なんて。俺が好きなら、我慢できるだろ?
いつからだろう。無理やりにでも、繋ぎとめておきたくなったのは。
「でも、キュヒョナ…僕、一応行ってみるから」
そう言うと、ソンミンは部屋を出て行ってしまう。
引き留めればよかったかもしれない。でも、引き留めた所で、なんて言えばいいのか。
分からない。分からないんだ。貴方のことが好きすぎて。
ギュッと唇を噛み締めたキュヒョンの耳に、玄関のドアが閉まる音が届いた。
その甘い声で、僕を揺さぶる。
その全てで、貴方は僕を虜にする。
絶対に勝ち目のない戦いを、僕は挑んだ。
試合開始。敵は、何も知らない貴方だ。
*******
事が終わった後の部屋は、何だが艶めかしい雰囲気がある。
キュヒョンはその雰囲気に耐えられなくなって、逃げるように寝返りを打った。
隣では、ソンミンが、規則正しい寝息を立てて眠っている。
しっとりと汗で額に張り付いた前髪は、なんだか色っぽくて、見ていられない。
伸ばしかけたキュヒョンの手が、宙を泳ぐ。
いつからだろう。こんなにも、彼に触れるのをためらうようになったのは。
「ん…」
ソンミンがもぞもぞと動く。
ちらりと見えた白く、線の細い腰に、頭がクラクラする。
「ミニ、ほら、もう起きて」
「ん…キュヒョナ…?」
眩しそうに眼を細めたソンミンの頬に、軽くキスを落とす。
パッチリと見開いた瞳が可愛くて、キュヒョンは目を細めた。
本当に、いつからなんだろう。こんなにも、彼を愛しく思うようになったのは。
キュヒョンが優しく頭を撫でると、ソンミンは照れたように笑って、
キュヒョンに抱き着いた。
柔らかい肌の感触。愛しい体温。甘い匂い。
その全てが武器になるなんて、きっと本人は知らないんだろうけど。
「ん、ミニ、起きないと遅刻する」
「ちこく…?って…あ!!!」
ソンミンは勢いよく体を起こす。
こめかみを伝う汗を指でなぞると、不安そうにキュヒョンを見つめた。
「どうしよう…ヒョクチェと約束があったのに…」
「約束?」
「うん…ヤバイ、完全遅刻だ…」
キュヒョンの眉はあからさまに下がったのに、ソンミンは慌てている。
その困った表情さえ、見つめていたいほど可愛くて、抱きしめたいほど愛しい。
すっかり脱ぎ捨ててあった服を着たソンミンは、急かすように
キュヒョンの腕を引っ張る。
気怠そうに嫌がるキュヒョンに、ソンミンは顔を顰めた。
「キュヒョナ、僕ホントに急いでるんだから」
それは何?ヒョクチェヒョンとの約束があるから?そんなに大事なの?
言い立てるようにソンミンをキッと睨むと、
ソンミンは呆れたように肩を竦めた。
キュヒョンの腕を離すと、ソンミンはベットに腰かける。
「ヒョクチェとは、随分前から一緒に出掛けようって言ってて…」
「うん。それで?」
「やっと予定があいたから、絶対に行くって約束して…」
そんなの、理由になってない。
ミニは俺だけを見ていればいい。よそ見する暇なんて、ないくらいに。
―少なくとも、俺は、ミニしか見えていないのに。
そんなことを言ったら、どうせ笑われるのがオチだ。
そんなんじゃない。冗談なんかじゃなくて、本気なのに。
「ま、どうせ今から言っても無駄じゃない?」
吐き捨てるようにキュヒョンが言うと、ソンミンは眉を寄せた。
ゴロンとキュヒョンが横になってしまうと、いよいよ深いため息が聞こえる。
―やめろよ、ため息なんて。俺が好きなら、我慢できるだろ?
いつからだろう。無理やりにでも、繋ぎとめておきたくなったのは。
「でも、キュヒョナ…僕、一応行ってみるから」
そう言うと、ソンミンは部屋を出て行ってしまう。
引き留めればよかったかもしれない。でも、引き留めた所で、なんて言えばいいのか。
分からない。分からないんだ。貴方のことが好きすぎて。
ギュッと唇を噛み締めたキュヒョンの耳に、玄関のドアが閉まる音が届いた。
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