「はあ…」
キュヒョンが深いため息をつくと、隣にいたヒョクチェに脇腹を小突かれる。
そんなヒョクチェだって明らかに不機嫌そうな、嫌悪そうな顔をしている。
「仕方ないって。仕事なんだから。」
「…分かってますよ、そんなの。」
分かっている。分かっているから大変なんだ。
あんなことがあった次の日の仕事がこんな仕事なんて、まるで仕掛けられているみたいで。
「ほら、行くぞキュヒョナ」
キュヒョンはかったるそうにヒョクチェに手を引かれ、ずるずるとスタジオに入る。
眩しいライトと騒がしい人の流れに押されて、二人は部屋の中央まで来ていた。
真っ白い背景に包まれて、仲良さげに笑いあう人が二人。
キュヒョンは反射的に眼を逸らし、ヒョクチェの服の袖を引っ張った。
「…仕事に影響だしちゃダメだぞ、キュヒョナ」
「だから、分かってますってば…」
スタッフが声を上げる。
その声にパタパタと愛らしい足音を立てて向かう影を、キュヒョンはじっと追っていた。
―あれだけ悲しそうな顔をしたのなら、どうして今、ドンへヒョンと…
別に、心配する必要なんてない。
言い出したのはあっちだし、ドンへヒョンだって、理由は知ってるんだし。
キュヒョンは欠伸を一つして、肩をコキコキと鳴らす。
そんなキュヒョンに苦笑したヒョクチェと一緒に、ライトの当たる真下へ行く。
「ついてないなぁ、ホント。よりによってこんな雑誌の撮影なんてさ。」
やれやれ、とヒョクチェは肩を竦める。
確かに、ついてない。
この雑誌の撮影は、いわゆる、ペアカップルの撮影だ。
ドンへとヒョクチェのお馴染みカップルに続き、キュヒョンとソンミンだって、
それなりに有名なわけで。
そうなると当然のように二人での撮影になり、せっかくそろったんだから…なんて理由で、
四人での撮影も入ってしまった。
「はーい、じゃあまずはドンへさんとウニョクさんお願いしまーす!」
カメラマンの声に元気のいい返事を返して、ヒョクチェはすたすたと行ってしまう。
嫌なんだろうな、とは思っていても、これは仕事だ。どうしようもない。
ヒョクチェのいない左側をぼんやりと見つめていると、ふと、そこに影が落ちる。
驚いて顔を上げると、いつも通り―…いや、いつもより少し妖艶な笑みを浮かべたソンミンがいた。
「ドンへとヒョクチェ、すっごく仲良く撮ってるよね」
「…うん…」
「僕たちも、頑張らないと」
―何を?何をがんばれって言うんだよ。今さら…
キュヒョンがぐっと唇を噛み締めると、二人の撮影の終了を告げる声が響く。
よし、と声を弾ませて立ち上がったソンミンにつられて、キュヒョンも立ち上がる。
「行こっか、キュヒョナ」
先を歩き出してしまったソンミンを追うように、キュヒョンは小走りになる。
途中、撮影を終えたヒョクチェとすれ違うと、ヒョクチェは困ったような、悲しいような笑顔を
キュヒョンに向けた。
上手くはいかなかったんだろう。きっと。
キュヒョンは優しい視線をヒョクチェに送る。
それに気づいたヒョクチェは少し照れたように笑って、顔を上げて、パクパクと口を動かした。
が・ん・ば・れ―
苦笑いで、交わすしかなかった。
*******
するりとソンミンの腰に手を回すと、カメラマンから声がとんだ。
「おっ!そういう感じすっごいいいよー!!」
キュヒョンはため息をつく。
さっきから、これでもかというほどスキンシップをしているのに、なかなか終わらない。
ドンへとヒョクチェの時にはすぐ終わったのに、絶対に二人以上はかかっている。
一方、ソンミンはそんな事気にしていないようで、周囲にもキュヒョンにも明るく振る舞った。
キュヒョンに抱き着いて来たり、回された腕を触って見たり。なんだか、心臓に悪いことばかりしてくる。
「なかなか終わんないね、俺たち」
「そお?キュヒョナが笑わないからだよー」
ソンミンは楽しそうに笑って、キュヒョンの頬を軽くつねる。
微妙な痛みとくすぐったさに頬が緩んだ瞬間、パシャッと言う音がして、あたりが白い光に包まれた。
「今の顔すっごく良かったよ!お疲れ様!!」
満足げな笑顔のカメラマンを見て、キュヒョンとソンミンは顔を見合わせて苦笑した。
「ほら、やっぱりキュヒョナが笑わないからだったじゃーん」
「さっさとミニがつねってくれれば良かったの。」
「えー?何それぇ」
バシッとキュヒョンの肩を叩いて笑うソンミンの仕草に、思わず顔の筋肉が緩む。
いちいち女の子ぽいと言うか、愛らしくて、可愛くて。
冗談のつもりで、キュヒョンはソンミンの背中に手をかけた。
本当に、冗談のつもりで。可愛くて仕方がないこの人を、抱きしめようと思ったその時。
「ソンミニヒョン!!!」
突然背後から声がして、キュヒョンは慌てて手を離す。
行き場をなくした手が宙を泳いでいると、かけてきたドンへが言った。
「もう撮影終わったんでしょ?一緒に休憩いかない?」
それはもちろん、ソンミンに向けて。
ソンミンがドンへとキュヒョンを交互に見る。
なんだかその視線に苛立って、多分今、最高に怖い顔をしていると思う。
そんなに申し訳なさそうに見られると、自分が惨めに思えて仕方がないじゃないか。
「行ってきなよ、ミニ。俺はヒョクチェヒョンと休憩するから。」
自分でもびっくりするほど、冷たい声が出た。
キュヒョンはドンへとソンミンににっこりと笑いかけて、二人の隣と通り過ぎる。
なんだか背中に視線が刺さったけれど、そんなことはどうでもいい。
面倒くさいことになった。
もしあの場で抱きしめてしまっていたら、もっと面倒くさくなっていたかもしれない。
ちょっとだけ、ドンへヒョンに感謝をしなければ。
キュヒョンはスタジオの端にあるパイプ椅子に腰を落とす。
チラリと二人の方を見ると、ばっちりとソンミンと目が合った。
すごく悲しそうな、寂しそうな瞳をしていた。
キュヒョンが深いため息をつくと、隣にいたヒョクチェに脇腹を小突かれる。
そんなヒョクチェだって明らかに不機嫌そうな、嫌悪そうな顔をしている。
「仕方ないって。仕事なんだから。」
「…分かってますよ、そんなの。」
分かっている。分かっているから大変なんだ。
あんなことがあった次の日の仕事がこんな仕事なんて、まるで仕掛けられているみたいで。
「ほら、行くぞキュヒョナ」
キュヒョンはかったるそうにヒョクチェに手を引かれ、ずるずるとスタジオに入る。
眩しいライトと騒がしい人の流れに押されて、二人は部屋の中央まで来ていた。
真っ白い背景に包まれて、仲良さげに笑いあう人が二人。
キュヒョンは反射的に眼を逸らし、ヒョクチェの服の袖を引っ張った。
「…仕事に影響だしちゃダメだぞ、キュヒョナ」
「だから、分かってますってば…」
スタッフが声を上げる。
その声にパタパタと愛らしい足音を立てて向かう影を、キュヒョンはじっと追っていた。
―あれだけ悲しそうな顔をしたのなら、どうして今、ドンへヒョンと…
別に、心配する必要なんてない。
言い出したのはあっちだし、ドンへヒョンだって、理由は知ってるんだし。
キュヒョンは欠伸を一つして、肩をコキコキと鳴らす。
そんなキュヒョンに苦笑したヒョクチェと一緒に、ライトの当たる真下へ行く。
「ついてないなぁ、ホント。よりによってこんな雑誌の撮影なんてさ。」
やれやれ、とヒョクチェは肩を竦める。
確かに、ついてない。
この雑誌の撮影は、いわゆる、ペアカップルの撮影だ。
ドンへとヒョクチェのお馴染みカップルに続き、キュヒョンとソンミンだって、
それなりに有名なわけで。
そうなると当然のように二人での撮影になり、せっかくそろったんだから…なんて理由で、
四人での撮影も入ってしまった。
「はーい、じゃあまずはドンへさんとウニョクさんお願いしまーす!」
カメラマンの声に元気のいい返事を返して、ヒョクチェはすたすたと行ってしまう。
嫌なんだろうな、とは思っていても、これは仕事だ。どうしようもない。
ヒョクチェのいない左側をぼんやりと見つめていると、ふと、そこに影が落ちる。
驚いて顔を上げると、いつも通り―…いや、いつもより少し妖艶な笑みを浮かべたソンミンがいた。
「ドンへとヒョクチェ、すっごく仲良く撮ってるよね」
「…うん…」
「僕たちも、頑張らないと」
―何を?何をがんばれって言うんだよ。今さら…
キュヒョンがぐっと唇を噛み締めると、二人の撮影の終了を告げる声が響く。
よし、と声を弾ませて立ち上がったソンミンにつられて、キュヒョンも立ち上がる。
「行こっか、キュヒョナ」
先を歩き出してしまったソンミンを追うように、キュヒョンは小走りになる。
途中、撮影を終えたヒョクチェとすれ違うと、ヒョクチェは困ったような、悲しいような笑顔を
キュヒョンに向けた。
上手くはいかなかったんだろう。きっと。
キュヒョンは優しい視線をヒョクチェに送る。
それに気づいたヒョクチェは少し照れたように笑って、顔を上げて、パクパクと口を動かした。
が・ん・ば・れ―
苦笑いで、交わすしかなかった。
*******
するりとソンミンの腰に手を回すと、カメラマンから声がとんだ。
「おっ!そういう感じすっごいいいよー!!」
キュヒョンはため息をつく。
さっきから、これでもかというほどスキンシップをしているのに、なかなか終わらない。
ドンへとヒョクチェの時にはすぐ終わったのに、絶対に二人以上はかかっている。
一方、ソンミンはそんな事気にしていないようで、周囲にもキュヒョンにも明るく振る舞った。
キュヒョンに抱き着いて来たり、回された腕を触って見たり。なんだか、心臓に悪いことばかりしてくる。
「なかなか終わんないね、俺たち」
「そお?キュヒョナが笑わないからだよー」
ソンミンは楽しそうに笑って、キュヒョンの頬を軽くつねる。
微妙な痛みとくすぐったさに頬が緩んだ瞬間、パシャッと言う音がして、あたりが白い光に包まれた。
「今の顔すっごく良かったよ!お疲れ様!!」
満足げな笑顔のカメラマンを見て、キュヒョンとソンミンは顔を見合わせて苦笑した。
「ほら、やっぱりキュヒョナが笑わないからだったじゃーん」
「さっさとミニがつねってくれれば良かったの。」
「えー?何それぇ」
バシッとキュヒョンの肩を叩いて笑うソンミンの仕草に、思わず顔の筋肉が緩む。
いちいち女の子ぽいと言うか、愛らしくて、可愛くて。
冗談のつもりで、キュヒョンはソンミンの背中に手をかけた。
本当に、冗談のつもりで。可愛くて仕方がないこの人を、抱きしめようと思ったその時。
「ソンミニヒョン!!!」
突然背後から声がして、キュヒョンは慌てて手を離す。
行き場をなくした手が宙を泳いでいると、かけてきたドンへが言った。
「もう撮影終わったんでしょ?一緒に休憩いかない?」
それはもちろん、ソンミンに向けて。
ソンミンがドンへとキュヒョンを交互に見る。
なんだかその視線に苛立って、多分今、最高に怖い顔をしていると思う。
そんなに申し訳なさそうに見られると、自分が惨めに思えて仕方がないじゃないか。
「行ってきなよ、ミニ。俺はヒョクチェヒョンと休憩するから。」
自分でもびっくりするほど、冷たい声が出た。
キュヒョンはドンへとソンミンににっこりと笑いかけて、二人の隣と通り過ぎる。
なんだか背中に視線が刺さったけれど、そんなことはどうでもいい。
面倒くさいことになった。
もしあの場で抱きしめてしまっていたら、もっと面倒くさくなっていたかもしれない。
ちょっとだけ、ドンへヒョンに感謝をしなければ。
キュヒョンはスタジオの端にあるパイプ椅子に腰を落とす。
チラリと二人の方を見ると、ばっちりとソンミンと目が合った。
すごく悲しそうな、寂しそうな瞳をしていた。
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